使用可能音階の追加
欧米音楽で使われる5音音階にメジャーペンタトニックスケール(以下、Mptと略記)があるわけですが、この音階は日本で古くは呂旋法や、明治以降にできたヨナ抜き音階と同じものです。
この音階は6度音を主音にするとマイナーペンタトニックスケール(以下mptと略記)または民謡音階と、2度音を主音とする律音階上行形と同じになります。
そしてヨナ抜き音階にはヨナ抜き長音階とヨナ抜き短音階があります。
このヨナ抜き短という音階はヨナ抜き長の3度音と6度音を半音下げた音階なのですが、この音階の5度音を主音にすると都節音階になります。この音階は前の記事で書いた都節音階上行形の基本の形です。2度音を主音とすると都節上行形になります。
理論としてではなく、実際の日本音楽の中では基本形と上行形は音階として区別されるものでは無くて、ドだけでなくレが使われることもある、という感じのものです。ただし、ドレなどのように続けて使われることはほぼありません。
ダイアトニックコードとの対応
新しく増えた音階を使用できるダイアトニックコードに当てはめると以下のようになります。譜例では主和音はメジャーキーでCM7、マイナーキーではAm7とします。
音符の色はコードの中で○ルート(根音)●コードトーン●テンションまたは付加音●アヴォイドノート
コードとの対応は「ここからここまで、それ以外はダメ」というものでなく実線で表した範囲はおすすめだけど破線で表した範囲では使っても良い、という感じです。
主和音のタイプとしてはM7ならミ民謡音階が、M6なら呂旋法が合いますし、3和音(トライアド)ならどちらでも合います。そしてマイナーキーならミ民謡音階が合いますし、主和音が3和音ならヨナ抜き短音階でも大丈夫です。M6については次の記事で触れるつもりです。
前の記事でも書きましたが、マイナーキーでM7度を使う、つまりハーモニックマイナースケールを使う時は以下のようになります。
ドミナントスケールとしての都節音階上行形
譜例にあるように、ドミナント(7)コードではメジャーキー(キーCでG7)でもマイナーキー(キーAmでE7)でもE都上が使えることになります。
また、基本的にはマイナーキーで短3度上の都上が使えます。それはこの音階がオルタードドミナント7thスケールのギャップドスケールになるからです。
ドミナントコードではメジャーキーでもマイナーキーのスケールを使うことができます。
この使い方はジャズ畑の方には受け入れやすいと思いますが、オルタードテンションに特有な感じがあり、好みとしては分かれるかもしれません。
それでここまででは、1つのドミナントコードに3つの都上が使え、言い方を変えると1つの都上が3つのドミナントコードで使えます。
譜例ではコードを揃えました。一番下の数字はルート(根音:r)からの音程です。
メイジャーキーでは短3度下(長6度上)の都上が使え、マイナー、またはメイジャーキーでは1度と短3度上の都上が使えます。
さらに、ジャズ理論では減5度上のコードを「ウラ」コードとして使うことができます。例えばキーCメジャーで言うとG7をD♭7に替えることができます。このドミナントでオルタード7thスケールを使うとすると、ウラコードでも同じ音列のスケールを使うことができます。*1
これと同じく、ドミナントコードで短3度上の都上を使うとすると、ウラコードでも同じ音階を使うことができます。
これは減5度の関係にあるコード、例えばG7とD♭7でgから短3度上、d♭から短3度下は同じ音b♭になるからです。
1オクターブを4等分割した図を示します。
そして今度はウラコードで短3度上の都上使うと、これは元のコードのメジャーのドミナントスケールとしての都上になります。(上の譜例の最後のD♭7)
最後にここまでのまとめとしての例を載せておきます。キーはCメジャーですが真ん中の2小節は同主短調のCマイナーになっています。
*1:G7で使えるGオルタード7thスケールはウラコードのD♭7で使えるリディアン7thスケールと同音列で主音は減5度の音程関係にあります。