「欧米音楽での5音音階1」で書いたように、マイナーキーでは律音階の上行形が使えました。この音階の基本の形はm7°ではなくM6°が使われます。
伝統的な律音階としては特に音が上行する時にM6でなくこのm7°が出てきやすいのですが、このシリーズ記事では欧米音楽とのマッチングを考えているので基本形と上行形や下行形を別の音階として取り扱っています。
□m6(9)
このマイナーキーのImで、律の基本形を使うとマイナースケールのm6°音と合いません。しかしIm6(9)のM6thと合わせることができます。上の譜例のようにcを基準とするとCm6(9)です。
また、主音から長2度上にある都節音階上行形(都上)もIm6(9)に使うことができます。この音階はヨナ抜き短音階の6度音を半音上げたものになります。
ドリアのIVとII
マイナーキーでIVはダイアトニックでIVm(7)ですが、ドリアのIVと呼ばれる長3度持つIV(7)を使うことができます。この長3度音は音階で言うと長6度音に当たりますが、IIの和音の5度音に使うとダイアトニックでIIm(7)-5がIIm(7)になります。
音符の色は上段で赤はM6度音 下段はコードの中で○ルート(根音)●コードトーン●テンションまたは付加音●アヴォイドノート
もちろん、これら音階の長6度音を含む和音では必ずこの音を含む5音音階を使う必要があるわけではありません。またこれらのコードでは2度都上で基本形も使う、つまり日本音楽のように両者を区別なく使うこともできます。
そして逆にCm6でなくCm7でも使うことができます。より親和性が高いのは以下の形です。
曲例の3小節目はD民(mpt)で良く、譜例としてはそれが正解ですが、より高揚感を高めるため欲が出てしまいました。
ドリアンモード
ナチュラルマイナースケールのm6度音が半音上がってM6度になったスケールがドリアンモードです。このモードの音は律音階と長2度都節音階に一致します。
モードジャズで3度和音を使う例を挙げておきます。