外縁の響

音楽のガイエン、そしてゲエンとしての響

島田式における即興の技術-民2、民謡4度和音

音を5つ4度で重ねると日本音階の基本形5音すべてがあらわれます。島田式ではこれを3つの構成音による3つの和音にわけます。これらの和音は4度で構成された4度和音ですが、目数で見ると3目の音程でできています。*1

各和音の構成音は基本の形で上から上音、中音、下音と言います。下のアルファベットは中音を名前とした和音名、いわゆるコードネームです。

基本和音

この項では民謡音階基本形からできる和音を見ていきます。異向形中間音によってできる和音については別項で解説します。

前項で見たように音階音は核音と中間音とできていますが、Tには核音のみ、STには1つの中間音(導音)が入りDには2つの中間音が含まれます。譜例では中間音を黒音符にしてあります。

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イタリア音名でも書いておきます。低い音を左から下音、中音、上音の順に書きました。カタカナは核音、ひらがなは中間音です。

T(トニック):ソ、ド、ファ ST(サブトニック):ド、ファ、し♭ D(ドミナント):ファ、し♭、み♭ 

陽音階では、すべての基本和音が完全4度によってのみできています。そして各和音の機能はその構成音の種類によって、Tは安定した和音、Dは不安定な和音、STはその中間となります。そしてこれらの和音は西洋のものと違って進行、つまり順序の制限はありません。和音はその中音から主和音(T 核1和音)、核2和音(ST)、導和音(D)とも呼びます。

 D→Tの進行は最も重要です。理由は不安定→安定の落差が最大で、なおかつその2つの和音で音階すべての構成音が鳴ることになるからです。

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上行音階による調では導和音は主和音の2度下にあります。民謡音階では導音は短7度音で、これが長2度上行して主音に解決します。(言うまでもなく導音の動きはそうでなければならないということではありません)和音も導和音が2度上行して主和音に進みます。

上の譜例4小節目のように、Tでは核3*2が省略されやすいです。これによって安定和音をより安定した協和音にできます。

省略和音と付加和音

ここからは今のところ即興演奏にそれほど影響がありません。

T以外にも中音以外の和音構成音を省略することができます。2小節目はSTですが、下音を省略してさらに4度下に音を付加することができます(3小節目)。島田式サイトでは違った言い方をしています*3が、付加された核3音gを中間音と考えると核2+2つの中間音ということでDに近い性格を持っています。

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*1:なぜ3度ではなく4度和音を使うのかというと、これは雅楽の合竹を参考に移動するテトラコルドというアイディアから来ています。

*2:上行音階(民謡音階と琉球音階)では下音

*3:34導和音と呼んでいます