外縁の響

音楽のガイエン、そしてゲエンとしての響

島田式における即興の技術-民3、フレーズ1

このシリーズので示した内容にそって、民謡フレーズとその応用について書きます。

フレーズの自作や作曲に役立てられるように理論面も書きましたが、実践を先にしたいという方は「解決音」から読み始ると良いでしょう。

奇数フレーズと偶数フレーズ

この記事「島田式における即興の技術」では基本的に音階主音をcに決めています。また、今後煩雑さをさけるために五線譜に調号を付けます。*1

等しい長さの音が偶数個(2x)順次(となりの高さの音に)進行し、なおかつそれに続く解決音(+1)がオクターブ内にあれば、その解決音は開始音から上下奇数目*2の音程になります。 

f:id:esrajs:20200401160316p:plain

そうでない箇所(ア〜オ)が奇数回フレーズ内にあると解決音は開始音の偶数目になることもあります。*3

f:id:esrajs:20200401161522p:plain

解決音

ここで紹介する技法では、奇数目に解決するフレーズと偶数目に解決するそれとを区別します。それによって即興演奏の際、目的となる音にスムーズに解決することができます。

解決音は和音構成音にします。中でも中音に解決するといつでも安全です。

f:id:esrajs:20200510174202p:plain
和音構成音(白音符)はその和音の中で安定した音で、音階の核音が一時的にこれらの音に替わったと言えます。それ以外の非和音音は音階で言うと中間音と同じに動きます(黒音符)。和音構成音は長くのばしたり次の音に跳躍して達することができます。

民P1

はじめに奇数フレーズの一例を考えます。民謡フレーズ1(民P1)と呼んでおきます。

ド、ミ♭、ファ、ミ♭、ド、シ♭、ド、ミ♭、|ドまたはファ

f:id:esrajs:20200402115722p:plain

このフレーズでは開始音から1目(同度)、または3目に解決します。 

この奇数フレーズは1つの和音内で使えるのはもちろん、異なる和音でも共通の構成音がある時つかうことができます。特に先に挙げたとおり、1つの調の(異向形和音を除く)3つすべての和音では核2音が共通して含まれます。それで解決音を核2として曲中どこでも使うことができます。

このシリーズでは同じ目数関係、同じリズムであれば移高しても同じフレーズと考えます。譜例では民の核2であるファを解決音とするP1を繰り返しています。

f:id:esrajs:20200419185021p:plain

練習曲 民P1(前半)

f:id:esrajs:20200425053637p:plain

 

前のページ次のページ

 目次に戻る

*1:なぜC民謡調に存在しないaに♭が付くのかを説明します。五線譜が使われる西洋音楽では7音音階を使いますが、この中に階名で言うとレ、ラ、ミを主音とする3つの民謡音階が見つけられます。この中でラを主音とする民謡音階を3つを代表するものと考え、するとハ短調(Cマイナー)と対応することになるため、調号は♭3つとなるわけです。

*2:音階音で何番目か-目数

*3:これについてはフレーズ2で書きます。