このシリーズの序で示した内容にそって、民謡フレーズとその応用について書きます。
フレーズの自作や作曲に役立てられるように理論面も書きましたが、実践を先にしたいという方は「解決音」から読み始ると良いでしょう。
奇数フレーズと偶数フレーズ
この記事「島田式における即興の技術」では基本的に音階主音をcに決めています。また、今後煩雑さをさけるために五線譜に調号を付けます。*1
等しい長さの音が偶数個(2x)順次(となりの高さの音に)進行し、なおかつそれに続く解決音(+1)がオクターブ内にあれば、その解決音は開始音から上下奇数目*2の音程になります。
そうでない箇所(ア〜オ)が奇数回フレーズ内にあると解決音は開始音の偶数目になることもあります。*3
解決音
ここで紹介する技法では、奇数目に解決するフレーズと偶数目に解決するそれとを区別します。それによって即興演奏の際、目的となる音にスムーズに解決することができます。
解決音は和音構成音にします。中でも中音に解決するといつでも安全です。
和音構成音(白音符)はその和音の中で安定した音で、音階の核音が一時的にこれらの音に替わったと言えます。それ以外の非和音音は音階で言うと中間音と同じに動きます(黒音符)。和音構成音は長くのばしたり次の音に跳躍して達することができます。
律P1
はじめに奇数フレーズの一例を考えます。律フレーズ1(栗P1)と呼んでおきます。
ド、レ、ファ、レ、ド、ラ、ド、レ、|ドまたはファ
このフレーズでは開始音から1目(同度)、または3目に解決します。
この奇数フレーズは1つの和音内で使えるのはもちろん、異なる和音でも共通の構成音がある時つかうことができます。特に先に挙げたとおり、1つの調の(異向形和音を除く)3つすべての和音では核2音が共通して含まれます。それで解決音を核2として曲中どこでも使うことができます。
このシリーズでは同じ目数関係、同じリズムであれば移高しても同じフレーズと考えます。譜例では律の核2であるソを解決音とするP1を繰り返しています。
練習曲 律P1(前半)