外縁の響

音楽のガイエン、そしてゲエンとしての響

島田式における即興の技術-二重の調エ、琉調と都節音階

ここでは、上行陰音階である琉球音階と下行陰音階である都節音階が同時に鳴る状態を考えてみます。

総和音を比較してみると主和音のみが共通で他に共有できる和音はありません。琉の主和音上で都節音階を演奏することは当然ながら問題ありません。

f:id:esrajs:20200523164408p:plain

琉の長7度音と都の上行形の短7度は矛盾しますから、都は基本形だけを使います。また、琉下行形の核3和音が鳴っている時は都の2度音と矛盾しますので都節音階は使えません。

琉の導和音の上に都の2つの中間音を4度で付加することができます。(下の譜例1小節目)

f:id:esrajs:20200516123247p:plain

コードシンボル○73は中音から減7度と減3度(10度)音が付加されているという意味*1で、この2つが都の中間音です。この和音では下音fを省略することも可能です。2小節目以降はこの和音のバリエーションです。

琉導和音の中音と付加下7度音、導和音の上音と付加下3度音は7度を作ります。この音程を作る2音は下の譜例のように互いに反行(2→1、3→4 6→5、7→1)させるのが基本です。片方または両方を保留することもあります。

f:id:esrajs:20200523124058p:plain

核音と基本形の琉、都各音階の中間音を足すとダブルハーモニックスケールまたはインドのラーガ バイラブの音列と一致します。しかし島田式では2つの音階は明確に区別されます。

f:id:esrajs:20200516123636p:plain琉球音階と都節音階は交互に奏することもできますが、互いの中間音を続けて鳴らすことはできません。赤音符は琉の、青音符は都の中間音です。

f:id:esrajs:20200516124748p:plain

これらの旋律は琉球音階とも都節音階とも言えません。

次の譜例では上段に琉調の和音を4度進行で、下段に都調の和音を5度進行で書きました。両者は機能が一致しています。また各小節は上下段通して4度で構成されています。演奏においても下段の都和音が実際に鳴っているかいないかにかかわらず、都旋律は琉に対応する都の機能を想定して演奏します。つまり琉の主和音では都の主和音でのように(例えば核2音は5度音と想定)、琉の導和音では都の導和音でのように演奏します。

f:id:esrajs:20200516130056p:plain

 次の曲例では1カッコは琉球音階のまま、2カッコは基本形の都節音階で旋律が作られています。また後半ではフレーズ2を使いました。

f:id:esrajs:20200516143428p:plain

 


前のページ次のページ

目次にもどる

 

*1:○はディミニッシュ=減の意味です