外縁の響

音楽のガイエン、そしてゲエンとしての響

島田式における即興の技術-二重の調カ、律調と琉球音階

ここでは、下行陽音階である律音階と上行陰音階である琉球音階が同時に鳴る状態を考えてみます。

すでに琉調と律音階で見てきた様に総和音を比較するとお互いの主和音、琉の異向形の核3和音と律の核2和音の2つは共通しています。これらの和音上で琉球音階を演奏することが可能です。

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律上行形では短7度音を使いますので琉の長7度音と矛盾します。ですから律の核3和音を鳴らしている時に琉球音階は使えません。

律の導和音の下に琉の2つの中間音を4度で付加することができます。(下の譜例1小節目)

f:id:esrajs:20200521010540p:plainコードシンボル下73は中音から下に短7度と短3度(10度)が付加されているという意味で、この2つが琉の中間音です。この和音では上音gを省略することも可能です。2小節目以降はこの和音のバリエーションです。

これらの付加音としての琉中間音は伴奏和音として実際に奏することもできますが、それを想定して旋律のみがこれら付加音を、つまり琉球音階を奏することができます。すると、伴奏は律調、旋律は同主琉球音階という二重の構造ができあがります。

律導和音の中音と付加下7度音、導和音の下音と付加下3度音は短7度(長2度)を作ります。この音程を作る2音は下の譜例のように互いに反行(2→1、3→4 6→5、7→1)させるのが基本です。片方または両方を保留することもあります。

f:id:esrajs:20200521021001p:plainこの「二重の調」全てで言えることですが、律音階と琉球音階は交互に奏することもできますが、互いの中間音を続けて鳴らすことはできません。

律音階と同主琉球音階とは核音が違いますから、律の中間音を琉のそれに入れ替えただけでは琉の旋律とは言えません。

次の譜例では上段に律調の和音を4度進行で、下段に琉調の和音を5度進行で書きました。両者は上下対称で機能も一致しています。演奏においても下段の琉和音が実際に鳴っているかいないかにかかわらず、琉旋律は律に対応する琉の機能を想定して演奏します。つまり律の主和音では琉の主和音でのように、(例えば核2音は4度音と想定)律の導和音では琉の導和音でのように演奏します。

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次の曲例では1カッコは律音階のまま、2カッコは琉球音階で旋律が作られています。また後半ではフレーズ2反を使いました。

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