外縁の響

音楽のガイエン、そしてゲエンとしての響

島田式における即興の技術-二重の調ク、都調と琉球音階

ここでは、下行陰音階である都節音階を基調に、上行陰音階である琉球音階の旋律が同時に鳴る状態を考えてみます。

総和音を比較してみると主和音のみが共通で他に共有できる和音はありません。都の主和音上で都節音階を演奏することは当然ながら問題ありません。

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都上行形の核3和音が鳴っている時は琉の長7度音と矛盾しますので琉球音階は使えません。また、都の短2度音と琉の下行形の長2度音は矛盾しますから、琉は基本形だけを使います。

都の導和音の下に琉の2つの中間音を4度で付加することができます。(下の譜例1小節目)

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コードシンボル下○73は中音から下に減7度と減3度(10度)音が付加されているという意味*1で、この2つが琉の中間音です。この和音では上音gを省略することも可能です。2小節目以降はこの和音のバリエーションです。

都導和音の中音と付加下7度音、導和音の下音と付加下3度音は7度を作ります。この音程を作る2音は下の譜例のように互いに反行(2→1、3→4 6→5、7→1)させるのが基本です。片方または両方を保留することもあります。

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これらの付加音としての琉中間音は伴奏和音として実際に奏することもできますが、それを想定して旋律のみがこれら付加音を、つまり琉球音階を奏することができます。すると、伴奏は都調、旋律は同主琉球音階という二重の構造ができあがります。

この「二重の調」全てで言えることですが、都節音階と琉球音階は交互に奏することもできますが、互いの中間音を続けて鳴らすことはできません。

また、都節音階と同主琉球音階とは核音が違いますから、都の中間音を琉のそれに入れ替えただけでは琉の旋律とは言えません。

次の譜例では上段に都調の和音を4度進行で、下段に琉調の和音を5度進行で書きました。両者は上下対称で機能も一致しています。演奏においても下段の琉和音が実際に鳴っているかいないかにかかわらず、琉旋律は都に対応する琉の機能を想定して演奏します。つまり都の主和音では琉の主和音でのように、(例えば核2音は4度音と想定)都の導和音では琉の導和音でのように演奏します。

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 次の曲例では1カッコは都節音階のまま、2カッコは基本形の琉球音階で旋律が作られています。また後半ではフレーズ2反を使いました。

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*1:○はディミニッシュ=減の意味です