「二重の調」で見てきた様に、主となる調と同時に二次的な調を加えることができました。ここでは民調で都音階を演奏する場合の、特に導和音の状態を考えてみます。
C民の導和音4B♭に(C民ではなく)同主C都の中間音(黒音符)を加えてみます。
そしてこの導和音の中音を主音ととるとB♭民の音階が出来上がります(2小節目)。つまりC民の導和音がB♭民の主和音になります。総和音を書いてみると主調C民の主音がB♭琉の異向形導音になっています(赤音符)。
主調の主音に対して上下に2メからの偶数フレーズは、音階を民謡に替えた上で相変わらず使うことができます。現段階では最終音(青音符)では導和音の構成音である必要があります。
次の譜例では各段1,3小節目が民主和音化した導和音、2,4小節目は主調民主和音を設定しています。また1小節目は民謡基本形を、3小節目は下行形導音(赤音符c)を含む形です。
日本伝統音楽では2度が2回以上続くことはなく、2回続く場合(譜例でのラシド、またはレミファ)は真ん中の音が核音、つまり安定した音になります。ですので3連音と書かれた音列の最後、黒音符の解決音は安定音としては不自然になります。
フレーズ2の場合も同様です。
曲例です。
転調
導和音が主和音となるならこれを転調と考え、他の和音、例えばB♭民の導和音を使うこともできることになります。
ここまでは民導和音の拡張という考え方なので最終的には民導和音=短7度民主和音に収束し、民に帰ってきます。曲例2では和音よりもフレーズの音階が先に変化しています(または共通する音を使っています)このことで和音が新しい調の進行になることを予感させ、変化をよりスムーズにしています。例えば5小節目の菅は3拍目で民謡にもどっていて、弦はB♭民下とC民との共通音を弾いています。