外縁の響

音楽のガイエン、そしてゲエンとしての響

島田式における即興の技術-5、フレーズ2

フレーズの自作や作曲に役立てられるように理論面も書きましたが、実践を先にしたいという方は民F2から読み始ると良いでしょう。

偶数フレーズ

前項で「等しい長さの音が偶数個(2x)順次(となりの高さの音に)進行し、なおかつそれに続く解決音(+1)がオクターブ以内にあれば、その解決音は開始音から上下奇数目の音程になります。そうでない箇所(ア〜オ)が奇数回フレーズ内にあると解決音は開始音の偶数目になることもあります」と書きました。

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アは順次でなく跳躍進行している、イとウは同音を反復している、ウとエは音数が奇数、オはオクターブを超えた解決音によって開始音cの偶数目に解決しています。

アについては跳躍進行の目数によって解決音が奇数目か偶数目かが決まり、アのように跳躍が奇数目あれば解決音は偶数目となります。

民F2

ここでは偶数フレーズの例を考えます。民謡フレーズ2(民P2)と呼んでおきます。

ド、シ♭、ド、ソ、シ♭、ド、ミ♭、ファ、|ミ♭またはソ

第3と第4音の間が跳躍進行して3目になっています。

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このフレーズでは開始音から2目、または4目に解決します。

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 練習曲 民P2

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島田式における即興の技術-4、民P1反行形

奇数偶数フレーズとも音程を上下反対にした反行形でもその性質は変わりません。

民P1を上下反対にすると以下のようになります。

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反行形:ド、シ♭、ソ、シ♭、ド、ミ♭、ド、シ♭、|ドまたはソ

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7音音階用である五線譜に書くと見た目が綺麗な反行形に見えませんが、試しに民P1と民P1反の目数を足すと2か7になっています。このように反行形は足すと2+5xの目数になります。またこのフレーズでは反行形は前後逆にした逆行形とたまたま同じになります。

前の記事で書いた民P1の練習曲と続けて練習しましょう。

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実際には曲の中でどう使えるか示します。

特に即興演奏の際、解決音(P1では9つ目の音)は所属する和音の中音になるのが安全です。陰音階*1では上音と下音が短2度になる可能性があり、不用意にこの音程を作る音に解決することは避けた方が良いからです。

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曲として続けて2回使う例です。

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*1:都節音階と琉球音階

島田式における即興の技術-3、フレーズ1

このシリーズの序で示した内容にそって、民謡フレーズとその応用について書きます。

フレーズの自作や作曲に役立てられるように理論面も書きましたが、実践を先にしたいという方は民F1から読み始ると良いでしょう。

奇数フレーズと偶数フレーズ

等しい長さの音が偶数個(2x)順次(となりの高さの音に)進行し、なおかつそれに続く解決音(+1)がオクターブ以内にあれば、その解決音は開始音から上下奇数目の音程になります。

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そうでない箇所(ア〜オ)が奇数回フレーズ内にあると解決音は開始音の偶数目になることもあります。*1

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民F1

それでここで紹介する技法では、奇数目に解決するフレーズと偶数目に解決するそれとを区別します。それによって即興演奏の際、目的となる音にスムーズに解決することができます。

はじめに奇数フレーズの一例を考えます。民謡フレーズ1(民P1)と呼んでおきます。

ド、ミ♭、ファ、ミ♭、ド、シ♭、ド、ミ♭、|ドまたはファ

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このフレーズでは開始音から1目(同度)、または3目に解決します。 

この奇数フレーズは1つの和音内で使えるのはもちろん、異なる和音でも共通の構成音がある時つかうことができます。特に先に挙げたとおり、1つの調の(異向形和音を除く)3つすべての和音では核2音が共通して含まれます。それで解決音を核2として曲中どこでも使うことができます。

このシリーズでは同じ目数関係、同じリズムであれば同じフレーズと考えます。譜例では民の核2であるファからの民P1を繰り返しています。

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練習曲 民P1

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*1:これについてはフレーズ2で書きます。

島田式における即興の技術-2、民謡4度和音

4度で重ねると民謡音階の5音すべてがあらわれます。島田式ではこれを3つの構成音による3つの和音にわけます。これらの和音は4度で構成された4度和音ですが、目数で見ると3目の音程でできています。各和音の構成音は基本の形で上から上音、中音、下音と言います。下のアルファベットは中音を名前とした和音名、いわゆるコードネームです。

前項で見たように音階音は核音と中間音とできていますが、Tには核音のみ、STには1つの中間音(導音)が入りDには2つの中間音が含まれます。譜例では中間音を黒音符にしてあります。

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イタリア音名でも書いておきます。低い音を左から下音、中音、上音の順に書きました。カタカナは核音、ひらがなは中間音です。

T: ソ、ド、ファ ST: ド、ファ、し♭ D: ファ、し♭、み♭ 

陽音階では、すべての和音が完全4度によってのみできています。そして各和音の機能はその構成音の種類によって、Tは安定した和音、Dは不安定な和音、STはその中間となります。そしてこれらの和音は西洋のものと違って進行、つまり順序の制限はありません。

 D→Tの進行は最も重要です。理由は不安定→安定の落差が最大で、なおかつその2つの和音で音階すべての構成音が鳴ることになるからです。

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民謡調では導音は短7度音で、これが長2度上行して主音に解決します。(言うまでもなく導音の動きはそうでなければならないということではありません)

上の譜例2小節目のように、Tでは核3(民では下音)を省略することができます。これによって安定和音をより安定した協和音にできます。

なお、民謡音階の異向形中間音によってできる和音については別項で解説します。

 

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島田式における即興の技術-1、民謡音階とその音階練習

民謡音階

音階はその構成音が同じでも中心となる音が違えば別の音階となります。小泉理論では日本伝統音階には核となる音が2つあり、一つは主音、もう一つは核音と呼ばれます。それ以外の間にある音は中間音と呼びます。島田式では主音=核1、核音=核2と言いますが、もう一つ場面に応じて核音としても中間音としても機能する音があり、これを核3と呼びます。譜例1はC=ハ=神仙を主音とした民謡音階です。

西洋音名で譜例はド、ミ♭、ファ、ソ、シ♭、ド ||ド、シ♭、ソ、ファ、レ、ド|です。

譜例

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島田式では主音に2度で接する音=導音*1が下にあり、上行して主音に進む音階を上行音階と呼び、その2度が長2度である場合陽音階と呼びます。また、上行音階である民謡音階で旋律が反対に上から主音に下がって進む時に短3度音(譜例ミ♭)が変化して長2度(譜例レ)になる場合があります。この形を異向形と言い、変化した長2度音を異向形導音と呼ぶこともあります。

民謡音階の音階練習

このシリーズ記事は楽器自体の練習のためのものでは無いので、簡単に音階に慣れるための音階練習曲を挙げておきます。

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下に書いた数字は一段目が目数*2、二段目は度数、三段目はピッチクラス*3です。譜面はC民謡音階ですが必要な調子に移高する時に使えます。

次のものはより広い音域にわたっています。練習曲をひく速さ(テンポ)は適宜決めてください。8分音符か4分音符かは気にしないでください。

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オクターブ以上の音程に目数をつけました。二段目は単音程*4に直した物です。

練習曲はどのオクターブかは問いません。楽器によっては音域が合わない、または足りない場合を考え、核2から始まる練習曲も挙げておきます。

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*1:狭義では主音の半音下の音のみが導音と言えますが、島田式では長、短2度で上下に主音(時には核音の場合も)に接する音を全て導音と呼びます。

*2:音階の何番目か

*3:音程間の半音の個数

*4:オクターブ内の音程 最初の目数を例にとると6メー5=1メ

島田式における即興の技術-目次

この記事は目次としてリンクをつけていきますが、随時公開する予定なのでしばらくは不完全な形になっていることをご了承ください。

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民謡音階

1、民謡音階とその音階練習

2、民謡4度和音

3、フレーズ1

4、民P1反行形

5、フレーズ2

6、民P2反行形

7、フレーズの変形

8、異向形

律音階

1、律音階とその音階練習

2、律4度和音とフレーズ1

琉球音階

1、琉球音階とその音階練習

2、琉球4度和音とフレーズ1

都節音階

1、都節音階とその音階練習

2、都節4度和音とフレーズ1

島田式における即興の技術-序

新しい日本音階による即興演奏の方法をメソッドとして書いていきたいと思います。

島田式は日本音階による和声を考えた自作理論です。この「島田式における即興」では小泉理論に従い、4つの基本音階、民謡音階、律音階、都節音階、琉球音階により、4度和音に合致した旋律、いわゆるフレーズを考察します。

即興演奏では1、ソルフェージュによってその場で生み出す真の即興と2、準備されたフレーズをその場の音楽的必要に応じて即興的に演奏する場合があると思います。考え方によっては1は一音ずつ、2は(十分に体得していれば)一つの音群として感覚的にそれを選び奏するということで、2つは同じ事だとも言えます。また多くの場合、1と2両方を即興演奏で行うと思いますが、1だけでも充分即興演奏と言えます。

1はその場でイメージする音の音程(等)を指使いに即座に変換できる能力が必要です。この場合イメージと指使いの間に音名を介することもあると思います。2ではフレーズを一まとめに準備しておく必要のある、つまりテクニカルな、トリッキーな、即座に奏するのが難しい物はフレーズを用意、練習、記憶しておくことが必要になります。

このシリーズでは2のフレーズを準備する、いわゆるフレーズ練習について考えていこうと思います。日本の伝統楽器では洋風に言うとタブ譜のように勘所や弦を指定する楽譜を使いますが、このシリーズ記事では実際の音程とリズムを指定する為五線譜を使います。楽器を問わないためでもあります。

練習は音階ごとに分けられています。自分の慣れている音階から初めてみるのも良いでしょう。

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