外縁の響

音楽のガイエン、そしてゲエンとしての響

インド音楽

改造エスラジ3-共鳴弦2・12音共鳴弦

基本的にエスラジの共鳴弦(ターラーフ)は7本の弦が1オクターブ7音に割り当てられます。 しかしこれだとラーガや音階が変わる場合、共鳴音が鳴らない音が出てくることがあります。そのため他の音も共鳴させるために、1オクターブ12音−7音=5で5本の共鳴弦を…

改造エスラジ4-消音器

消音器、いわゆるミュートは色々な楽器に使われる音量を小さくするための備品で、エスラジ自体の改造と言うわけではありませんが、テーマが煩雑になるのも避けたいのでここに書きます。 エスラジは擦弦楽器なのでバイオリンなどの西洋楽器のミュートが使える…

インドの旋律とエスラジの奏法研究3-手首の回転

このブログシリーズの3つの奏法はどれも教師から教わったものではありません。ただここで扱う手首の回転は意識の持ちようということもあって、実際は多くのエスラジ奏者が実践しているのかもしれませんが、それは私にはわかりません。 手首の回転奏法とその…

インドの旋律とエスラジの奏法研究2-二本指奏法

二本指奏法とは 左手の手首の位置をポジションと呼ぶとすると、二本指奏法では1つのポジションで人差し指と、中指または薬指を使います。三本の指を使うのになぜ二本指奏法なのか、といえば、薬指は届きづらい時に中指の代わりとして使うからです。例えばエ…

インドの旋律とエスラジの奏法研究1-伝統的な奏法

ここではインド音楽特有の旋律の音程変化から考えていきますが、演奏のために包括的にその特徴を考察するもので、個別のラーガについてはほぼ言及しません。 インドの旋律の特徴 インドの音楽は声楽(歌)が基本になっています。ですから器楽であってもそれ…

日本の音階とインドのラーガ比較3-核音

西洋音楽では、同じ音列でも主音が違えば違う表情(長調・短調)を持つ。つまり並行調ですね。 並行調 もっと言えば、主音だけでなく属音(完全5度音)も違い、それによってメロディーも変わります。 これと同じようなものが日本伝統音楽にもあるかと言えば…

日本の音階とインドのラーガ比較2-異向型

西洋音楽(の調性音楽)では短調に3種類の音階がある、と説明されたと思います。この中に旋律的短音階がありますが、メロディーが上がる(上行)時と下がる時(下行)では使われる音が変わります。 旋律的短音階 下がる時の自然的短音階に比べ、上がる時は6…

日本の音階とインドのラーガ比較1-伝統音階

ここでは各音列内の、おおよその音高要素のみ*1を比較します。 インドのラーガは音高、中心となる音、音の動き、ムード、演奏される時間帯や季節、エピソードなどを包括する旋律概念で、簡単に「音階」と呼べるようなものではありませんが、ここでは音高要素…

改造エスラジ1 -穴

バイオリンにはf字孔、ギターにはサウンド ホールという穴が空いています。二胡は裏が透かし彫りになっていてやはり外気とつながっています。 しかし日本の胡弓やエスラジには基本的に穴は無く、外気とつながってはいません。 「音が大きくなる」「音の抜け…

改造エスラジ2 -共鳴弦1

エスラジはインド楽器なので、当然インド音楽を演奏しやすいようにできています。 また、同じような目的のために作られている他の同類の楽器、例えばディルルバやサーランギと比べて、大きく機能が違うと言うこともありません。 しかし、本来の用途でない音…