外縁の響

音楽のガイエン、そしてゲエンとしての響

島田式における即興の技術-都2、都節4度和音

音を5つ4度で重ねると日本音階の基本形5音すべてがあらわれます。島田式ではこれを3つの構成音による3つの和音にわけます。これらの和音は4度で構成された4度和音ですが、目数で見ると3目の音程でできています。*1

各和音の構成音は基本の形で上から上音、中音、下音と言います。下のアルファベットは中音を名前とした和音名、いわゆるコードネームです。

基本和音

この項では都節音階基本形からできる和音を見ていきます。異向形中間音によってできる和音については別項で解説します。

前項で見たように音階音は核音と中間音とでできていますが、Tには核音のみ、SDには1つの中間音(導音)が入りDには2つの中間音が含まれます。譜例では中間音を黒音符にしてあります。

f:id:esrajs:20200430170455p:plainイタリア音名でも書いておきます。低い音を左から下音、中音、上音の順に書きました。カタカナは核音、ひらがなは中間音です。

T(トニック):ソ、ド、ファ ST(サブトニック):れ♭、ソ、ド D(ドミナント):ら♭、れ♭、ソ

陰音階では、トニックのみ完全4度でできた完全4度和音で、他の和音は増4度(レ♭〜ソ)を含む増4度和音になります。そして各和音の機能はその構成音の種類によって、Tは安定した和音、Dは不安定な和音、SDはその中間となります。そしてこれらの和音は西洋のものと違って進行、つまり順序の制限はありません。和音はその中音から主和音(T 核1和音)、核2和音(SD)、導和音(D)とも呼びます。

D→Tの進行は最も重要です。理由は不安定→安定の落差が最大で、なおかつその2つの和音で音階すべての構成音が鳴ることになるからです。

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下行形音階による調では導和音は主和音の2度上にあります。都節音階では導音は短2度音で、これが2度下行して主音に解決します。(言うまでもなく導音の動きはそうでなければならないということではありません)和音も導和音が2度下行して主和音に進みます。

上の譜例4小節目のように、Tでは核3*2が省略されやすいです。これによって安定和音をより安定した協和音にできます。

 陰調の核2和音、導和音はそれぞれ上音、下音の音程が長7度で、この音程は良いのですが転回すると短2度や短9度を作ります。この音程はかなりきびしい響きがしますので、メロディーや最高音がこの音程を作らないようにします。それで即興演奏などでは増4度和音で長い音を使えるのは和音中音となります。伴奏和音より高い音域の上音、低い音域の下音も短2度を作りません。つまり曲全体の縦の線も基本配置(下から下音、中音、上音)の様になるのが良いのです。

省略和音と付加和音

ここからは今のところ即興演奏にそれほど影響がありません。

T以外でも中音以外の和音構成音を省略することができます。上で書いたように増和音(核2和音と導和音)の上音下音の短2度(長7度)を避けるために下行音階では上音を省略することができます。

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次の例はSDですが、2小節目のように下音を省略してさらに4度下に音を付加することができます。島田式サイトでは違った言い方をしています*3が、付加された核3音gを中間音と考えると核2+2つの中間音ということでドミナントの性格を持っています。

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*1:なぜ3度ではなく4度和音を使うのかというと、これは雅楽の合竹を参考に移動するテトラコルドというアイディアから来ています。

*2:下行音階(律音階と都節音階)ではT上音

*3:34導和音と呼んでいます