ここでは、上行陽音階である民謡音階と下行陰音階である都節音階が同時に鳴る状態を考えてみます。
総和音を比較してみると主和音同士、民の核2和音と都の異向形の核3和音は共通しています。民のこの2つの和音上で都節音階を演奏することは問題ありません。
民の核3和音では長2度音を使いますので都の短2度音と矛盾*1します。ですからこの和音が鳴っている時は都節音階は使えません。
民の導和音では都節音階と矛盾する音度はありません。都の2つの中間音はこの和音の上に4度で付加することができます。(下の譜例1小節目)
コードシンボル73は中音から短7度と短3度(10度)が付加されているという意味で、この2つが都の中間音です。この和音では下音fを省略することも可能です。2小節目以降はこの和音のバリエーションです。
民導和音の中音と付加下7度音、導和音の上音と付加下3度音は7度を作ります。この音程を作る2音は下の譜例のように互いに反行(2→1、3→4 6→5、7→1)させるのが基本です。片方または両方を保留することもあります。
核音に基本形の民、都各音階中間音を足すとCフリギアと一致します。しかし島田式では2つの音階は明確に区別されます。
民謡音階と都節音階は交互に奏することもできますが、互いの中間音を続けて鳴らすことはできません。赤音符は民の、青音符は都の中間音です。
これらの旋律は民謡音階とも都節音階とも言えません。
音列としての都節音階を民調と共に鳴らすことができることは説明できました。しかし、民謡音階と同主都節音階とは核音が違いますから、民の中間音を都のそれに入れ替えただけでは都節調とは言えません。
次の譜例では上段に民調の和音を4度進行で、下段に都節調の和音を5度進行で書きました。両者は機能が一致しています。演奏においても下段の都節和音が実際に鳴っているかいないかにかかわらず、都旋律は民に対応する都の機能を想定して演奏します。つまり民の主和音では都の主和音でのように(例えば核2音は5度音と想定)、民の導和音では都の導和音でのように演奏します。
次の曲例では1カッコは民謡音階のまま、2カッコは上行形を含んだ都節音階、3カッコは基本形の都節音階で旋律が作られています。また後半ではフレーズ2を使いました。
*1:ここでは増1度を作ることをこの様に言います